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膝蓋下脂肪体(IFP)について

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こんばんわ。本日はお膝の痛みを感じる組織の中の一つである膝蓋下脂肪体について少し話していきたいと思います。膝関節の痛みのツートップと言われている組織の一つで、膝蓋下脂肪体(以後IFPと略)と滑膜が痛みを生じやすいと言われております。特にIFPは膝で”一番痛い組織”と言われる程です。

膝の中に脂肪なんてあるのだろうか?と思った方もいらっしゃると思いますがこれが膝関節の前面〜お皿の真下、

さらにお皿の外側や上方部に染み出しております。ちなみ厳密にお皿の周りの脂肪体はIFPの他に有名な脂肪体は後二つほどあります。また、後日のブログにて説明いたします(大腿骨前脂肪体や膝蓋骨上脂肪体)

作用としては

①膝の屈曲や伸展運動の膝蓋骨(お皿)の動きをスムーズにさせる②大腿骨と脛骨間の衝撃を和らげる。③膝関節内の内圧を調整する④関節軟骨の清掃⑤摩擦や防御機能がある、と言われております。5つ程述べましたが膝を守るために非常に重要な役割を担っていることが分かりますね😃

上部の黄色組織が膝蓋下脂肪体です。IFPの範囲はとても広くみられます😲

大体神経や伏在神経、坐骨神経など様々な神経の支配を受けております。

自由神経終末も豊富に存在するため疼痛を生じやすく、関節運動に伴う形態変化に支障をきたすことで内圧が上昇して痛みを引き起こします。炎症が生じることでIFPに存在するサブスタンスP(痛覚の神経伝達物質)の感受性が高まり疼痛が増幅すると言われております。

このIFPにかかる圧力が非常に強くかかかる圧力というのが存在しております。この角度というのが膝関節屈曲20°以下と屈曲100°以上と言われております。前者は着座の際の初期の動作時、後者は正座などの姿勢で常に膝蓋骨からの強い刺激をIFPは受けることとなります。

ではIFPに痛みが出る際にはどんな痛みを皆様は感じているのでしょうか?それは「膝の中が痛い」、「膝の奥が痛い」、「なんか膝が詰まる感じがする」と痛みの範囲がはっきりしないもやっとした表現をされる方が多い印象です🤔

ちなみに私たち施術する側はIFPの痛みが過剰の場合は触るだけで激痛を伴うので触らないようにすることもあります。そう言う時はまた違う方法で膝蓋下脂肪体を緩めたりします。

またエコーでIFPの炎症所見を確認するとドップラー反応といって赤くパチパチとしたマークがIFP内に点在してみることが出来ます。

このIFPが繰り返し炎症を起こすと次第に繊維化して硬くなってしまいます。特に膝の手術で内視鏡での手術を経験された方は膝蓋下脂肪体を関節鏡が裂孔するので炎症が残存したり、癒着することが多いです。

IFPが繊維化して硬くなってしまうとデメリットが沢山出てきます。例えば・・・・

①繊維化することで前方の膝蓋腱の滑走性が低下し膝蓋骨の上方への移動を妨げてしまう。そうするとお皿の位置にもズレが生じてしまい膝伸展時の正しい筋出力が発揮できなくなってしまいます。

②繊維化が生じることで膝の半月板の前方移動や後方移動が低下して半月板が挟まってしまい半月板性の痛みを生じさせる可能性が出てきてしまいます😰そのためこのような関節ないでの機能的な不具合が出る前にIFPを痛めないようにする必要がありますね。

ではIFPはどのようにしたら痛めないのだろうか?その一つとして考えられるのが膝まわりの筋肉の柔軟性をしっかり維持することだと私は思っている。トランスレーションの原理というものがあります。今回は膝に関してお伝えしているので膝を中心に考えていきます。

例えば膝の前方組織が硬いとする。この硬い組織が大腿四頭筋だとすると膝を曲げた時に大腿四頭筋の硬さにより大腿骨が後方へ押されます。そうすると後方の組織に伸長刺激が加わり、後方組織に伸長痛が生じます。これは大腿四頭筋の硬さや拘縮により運動軸が後方移動し大腿骨が後方にズレているからです。

逆に膝関節の後方組織が硬い場合を考えるとしましょう。そうすると大腿骨が前方に押し出されて運動軸も前方へ移動します。すると前方への内圧が高まりIFPは強い刺激を受けて痛みを強く感じてしまうのです。この膝関節周囲筋の硬さの変化にて軸ズレが生じてしまうのです。つまりこのような軸ズレを起こさないように膝関節周囲筋の柔軟性を保つ必要があるのです😃

ではここからはIFPの痛みがあるのかどうかの評価を一つお伝えしていきます。

Hoffa Testという臨床上の検査があります。これは膝蓋下脂肪体を膝軽度屈曲位で軽度の圧を加えます。圧を加える所は膝蓋腱の両脇あたりとなります。そのまま圧を加えたまま膝を完全伸展位にすると圧を加えた部分に痛みが生じます。

これはなぜ痛みが生じたか?というと膝関節を曲げた状態だと関節内に大きく隙間が生じ、その隙間の中にIFPが逃げ込むことができるのですが、膝伸展位だと膝関節内に隙間がなくなりIFPが露出するからです。炎症や痛みがあるIFPは圧を加えられたらたまったものではないですね😂

ただこのテストをする際に注意が必要となります。圧を加えるところが半月板の前節と近い場合があるのでIFPとの鑑別に注意が必要となってきます。

IFPは臨床上高頻度で痛みを伴う組織なので治療の時はしっかり診ていく必要がありますので明日からの臨床に役立てていけたらと思います。

上記押している部分がIFPとなります。炎症がある場合はこの状態で膝が痛くなくても膝を伸ばすと痛みが出ます。

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